おたふくかぜワクチンについて
本年(2020年)10月からロタウイルスワクチンが定期接種、つまり公費負担、無料となります(2020年8月1日生まれ以降の小児が対象)。
このワクチンは2回ないしは3回接種が必要で、負担額は合計約2万5千円なので、高額で接種を見合わせようと考えていたご家庭にとっては朗報でしょう。
気になるのはおたふくかぜワクチンです。
以前はMMRワクチン(麻疹・おたふくかぜ・風疹混合)として定期接種されていましたが、無菌性髄膜炎の副反応の発症が多く1993年に中止とされました。
以降、麻疹風疹ワクチンは復活し現在定期接種となっていますが、おたふくかぜワクチンはまだ定期化されていません。
おたふくかぜに罹患すると、合併症として小児では髄膜炎、難聴、成人では睾丸炎、卵巣炎などが発症するおそれがあります。
中でも難聴は毎年5000人前後に発症していると考えられ、由々しき事態となっています。
この原因はひとえにワクチン接種率が30~40%と非常に非常に低いことに由来します。
さらに突き詰めれば定期化されていない、すなわち費用が発生するから接種率が低いままであることに他なりません。
ロタウイルスワクチンに比べて負担額は1万円前後(2回接種で)と少ないですが、それでも「お金がかかるから」と接種を見合わせる家庭は少なくないのが現状です。
2012年に日本小児科学会が厚生労働省におたふくかぜワクチンを定期化するよう嘆願書を出していますが、8年経った現在も厚生労働省はその重い腰をあげようとはしません。
先進国と呼ばれる世界の国々の中でおたふくかぜワクチンが定期化されていないのは日本だけです。
一刻も早いワクチン後進国卒業を切に願います。