予防接種・ワクチンのスケジュール

現在、本邦では
定期接種:不活化ワクチン7つ(B型肝炎、Hib、小児用肺炎球菌、四種混合、日本脳炎、二種混合、ヒトパピローマウイルス)、生ワクチン3つ(BCG、麻疹風疹、水痘)
任意接種:生ワクチン2つ(ロタウイルス、おたふく)
*ロタワクチンは2020年10月に定期接種になる予定
他に、毎年のインフルエンザワクチン(任意;不活化) があります。
BCGおよび13歳以上に対してのインフルエンザ以外は2回以上の接種が必要であるため、これを1回1回別の日に接種するとなるとかなり多くの日を医療機関通いに費やさなければなりません。生ワクチン後は27日以上あける、不活化ワクチン後は6日以上あける(不活化ワクチンについては改訂される予定です)、しかも同じワクチンどうしの間隔はそれぞれ決められているため、非常にややこしくなります。しかもワクチン接種時期の小児はちょうどカゼなどで発熱しやすくもあり、発熱のため接種延期となるとどんどんズレこんでいきます。親御様が失念してしまうこともあるでしょう。そこで、同時接種です。
日本小児科学会では、以下のように提言しています(一部改変)。

1)複数のワクチン(生ワクチンを含む)を同時に接種して、それぞれのワクチンに対する有効性について、お互いのワクチンによる干渉はない
2)複数のワクチン(生ワクチンを含む)を同時に接種して、それぞれのワクチンの有害事象、副反応の頻度が上がることはない
3)同時接種において、接種できるワクチン(生ワクチンを含む)の本数に原則制限はない
また、その利点として、以下の事項があげられる。
1)各ワクチンの接種率が向上する
2)子どもたちがワクチンで予防される疾患から早期に守られる
3)保護者の経済的、時間的負担が軽減する
以上より、日本小児科学会は、ワクチンの同時接種は、日本の子どもたちをワクチンで予防できる病気から守るために必要な医療行為であると考える。尚、同時接種を行う際、以下の点について留意する必要がある。
1)複数のワクチンを1つのシリンジに混ぜて接種しない
2)皮下接種部位の候補場所として、上腕外側ならびに大腿前外側があげられる
3)上腕ならびに大腿の同側の近い部位に接種する際、接種部位の局所反応が出た場合に重ならないように、少なくとも2.5cm以上あける

それぞれのワクチンのスケジュールを以下に示します。

Hib

①接種開始が生後2ヶ月~7ヶ月に至るまでの場合(4回接種)

②接種開始が生後7ヶ月~12ヶ月に至るまでの場合(3回接種)

③接種開始が生後12ヶ月~5歳の誕生日に至るまでの場合(1回接種)

小児用肺炎球菌

①接種開始が生後2ヶ月~7ヶ月に至るまでの場合(4回接種)

②接種開始が生後7ヶ月~12ヶ月に至るまでの場合(3回接種)

③接種開始が生後12ヶ月~2歳の誕生日の前日までの場合(2回接種)

④接種開始が2歳~5歳の誕生日の前日までの場合(1回接種)

B型肝炎

2016年4月1日以降に生まれた子で生後1歳に至るまで

✽母子感染予防スケジュールの対象となる児
(B型肝炎ウイルスキャリアの母から生まれ、生直後に垂直感染予防措置が施行された児)は対象とはならないです。

四種混合(ジフテリア、百日咳、破傷風、不活化ポリオ)

生後3ヶ月~7歳6ヶ月に至るまで

✽初回というのは初回免疫3回分のことを指します。
初回終了後、というのは一番最初のワクチン接種後ではなく、初回免疫3回分接種後という意味です。

日本脳炎

1期:生後6ヶ月~7歳6ヶ月になる前日まで
2期:9歳~13歳の誕生日前日まで

✽7歳6ヶ月~9歳未満での接種は任意とみなされ、公費は受けられません。
✽1995年(平成7年)4月2日~2007年(平成19年)4月1日生まれの方は特例対象者として20歳の誕生日を迎える前日までに4回の定期接種が受けられます。
✽2007年(平成19年)4月2日~2009年(平成21年)10月1日生まれの方に対しては、生後6ヶ月~90ヶ月未満の間に加えて、9~13歳未満の間にも第1期(3回分)の不足分を定期接種として受けられます。

ヒトパピローマウイルス

小学6年生女子(中学生1年女子)~高校1年生女子

2価ワクチン(3回接種)

4価ワクチン(3回接種)

ロタウイルス

現在任意接種ですが、2020年10月より定期接種となり、公費負担が受けられます。
初回接種は生後14週6日(3ヶ月半)までに行うことが推奨されています。

1価ロタウイルスワクチン(ロタリックス®)

8週齢から初回接種を開始し、4週以上の間隔をおいて24週齢までの間に2回接種

✽接種後に吐き戻したら、医師の判断で再投与できることになっています。

5価ロタウイルスワクチン(ロタテック®)

8週齢から初回接種を開始し、4週以上の間隔をおいて32週齢までの間に3回接種

✽接種後に吐き戻しても、再投与の必要はないとなっています。

麻疹風疹(MR)

第1期:1歳~2歳の誕生日の前日まで
第2期:小学校就学前の1年間(年長児期;4月1日から3月31日まで)

水痘(水ぼうそう)

1歳~3歳の誕生日の前日まで

おたふくかぜ

任意接種です。日本小児科学会では1歳と小学校就学前1年間の2回接種を推奨しています。

✽2回目は麻疹風疹ワクチン2回目と同時接種が良いと考えます。

二種混合(ジフテリア、破傷風)

11歳~13歳の誕生日の前日まで。1回接種です。

BCG

1歳の誕生日の前日まで。1回接種です。5ヶ月齢の時に四種混合3回目との同時接種が良いと考えます。集団接種の自治体では同時接種は受けることができません。